働き方改革関連法-その2-

こんにちは
特定社会保険労務士のおくむらです。

今日は前回に引き続き、働き方改革関連法についてお話しします。

前回は、働き方改革のうち、労基法の改正を中心とした労働時間改革、具体的には使用者が労働者に残業を命じた場合の限度時間の上限の法定化と、新たに高度プロフェッショナル制度の創設、使用者に対する年次有給休暇の付与義務の強化、中小企業に対する時間外労働60時間超の場合の時間外割増手当の割増率50%の猶予措置の廃止、フレックスタイム制における清算期間の延長、勤務間インターバル制度(努力義務)等についてお話しさせていただきました。

前回のブログをお読みになられたい方はこちら>>>働き方改革関連法案(労働時間改革)

今日は、働き方改革のもう一方の柱である、有期雇用労働者や派遣労働者に対する均衡・均等待遇の確保についてお話しします。

有期雇用労働者の均衡・均等待遇の確保

これまで、短時間労働者(いわゆるパートタイム労働者)については、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略称「パートタイム労働法」)によって、均衡・均等待遇が公法上使用者に義務付けられていました。

パートタイム労働者が、自身の均衡・均等待遇について、勤めている会社の正社員と比較して賃金などに不合理な相違や差別的取り扱いがあると思う場合は、労働局(具体的には、雇用環境均等部または雇用環境均等室)に相談することにより、労働局が、事業主に対して関連する文書等を提出させるなど報告を求め、パートタイム労働者の賃金等の待遇について、均衡待遇の点から不合理な相違がないか、又は均等待遇の点から差別的取り扱いをしていないか、調査し、不合理な相違が認められる場合には、助言や指導、勧告をするなどの方法により、半ば強制的にパートタイム労働者の均衡・均等待遇の実現を図っていました。併せて、パートタイム労働者の均衡・均等待遇に関して事業主と紛争状態となったときは、労働局の紛争解決制度である調停制度を利用してその解決を図ることができました。

これに対して、有期雇用労働者(俗に契約社員と言われる労働者)については、私法である民法の特別法の労働契約法第20条で、均衡待遇に関して、契約期間に定めがあることを理由として、労働条件について、期間の定めのない労働者(いわゆる正社員)と不合理な相違であってはならない旨定めているにすぎませんでした。労働契約法は私法ですから、パートタイム労働法のように、労働局が事業主に文書の提出等報告を求めたり、行政上の指導等を行うことはできませんでした(もっとも個別労働関係紛争解決促進法に基づいて、事業主に対して自主的に紛争の解決を促すための助言を行うことはありました)。

そこで、今般の働き方改革で、有期雇用労働者(と以下に述べる派遣労働者)について、パートタイム労働者と同様に、正社員と同様の均衡・均等待遇を確保すべく、現行のパートタイム労働法を大きく改正して、同法を、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略称「パートタイム・有期雇用労働法」)と改めて、法律の対象とする労働者をパートタイム労働者に有期雇用労働者を加えて、有期雇用労働者についても、行政法(公法)で事業主に対して、均衡・均等待遇の実現を図ることとしました。

改正法施行後は、有期雇用労働者についてもパートタイム労働者と同様、労働局雇用環境均等部が、必要に応じて、事業主に文書等の提出等報告を求め、助言や指導、勧告をしたり、紛争の解決のために当事者が労働局に調停を申請することができるようになります

なお、均衡・均等待遇の定義については次の通りです。

均衡待遇とは

次の3つの要素に照らして、基本給や賞与その他の待遇のそれぞれについていわゆる正社員との相違が不合理でないことです。
① 職務の内容及び責任の程度
② 職務の変更の範囲及び配置の変更の範囲
③ その他の事情
上記の③その他の事情については、高年齢者雇用安定法に基づく、定年後再雇用労働者で有期雇用労働者(俗に嘱託職員と言われたりする労働者)といった事情が当てはまります(詳しくは私の以前のブログを参照ください>>>有期雇用労働者の均衡待遇―最高裁判例からーその3)。

均等待遇とは

次の2つの要素に照らして、基本給や賞与その他の待遇のそれぞれについて差別的取り扱いではないことです。
① 職務の内容及び責任の程度
② 職務の変更の範囲及び配置の変更の範囲

派遣労働者の均衡・均等待遇の確保

今般の法改正で、有期雇用労働者の均衡・均等待遇の確保が図られたのと同様に、派遣労働者についても均衡・均等待遇の確保が図られることになりました。

派遣労働者については、一義的には派遣先で派遣労働者が従事する業務と同様の業務に従事する通常の労働者との均衡・均等待遇の確保を派遣元事業主が負うことになります。しかし、派遣元事業主が労使協定を締結した場合には、派遣労働者が従事する業務と同様の業務に従事する国内の労働者の賃金の平均以上を支払うことを条件に、派遣先事業場の労働者との均衡・均等待遇の確保を派遣元事業主は負う必要がなくなります。

以上の派遣労働者の均衡・均等待遇の確保を実現するために、派遣先事業主は派遣元事業主に対して、派遣労働者が従事する業務ごとに、派遣先事業主で雇用している派遣労働者と比較対象労働者の待遇に関する情報を提供しなければなりません。

また、派遣先事業主が派遣元事業主と労働者派遣契約を締結するときは、派遣労働者の均衡・均等待遇が遵守されるように、派遣料金について配慮しなければなりません。

事業主の説明責任

法改正により、事業主がパートタイム労働者に対してだけではなく有期雇用労働者に対して、派遣元事業主にあっては派遣労働者に対して、次の通りの説明責任を負うことになります。

有期労働者(派遣事業者の場合は派遣労働者)を雇入れたとき

イ)賃金・福利厚生・教育訓練等の待遇内容について
ロ)待遇決定に際しての考慮要素

有期労働者(派遣事業者の場合は派遣労働者)から説明を求められたとき

いわゆる正社員(派遣事業者の場合は派遣先の対象労働者)との待遇差の内容及びその理由

 

 

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