働き方改革関連法

こんにちは
特定社会保険労務士のおくむらです。

8月に入ってしばらく、先般国会で成立した働き方改革関連の法律について、現行法と改正法の比較などを厚生労働省のページからダウンロードするなどして、整理していました。働き方改革関連法は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」によって、労基法や安衛法その他の関連する法律の改正がまとめられています。

今日は、働き方改革のために改正される主な法律とその内容を簡単にお話します。

働き方改革の概要

働き方改革は、大きく労働時間に関する「改革」と有期雇用労働者及び派遣労働者に係る均衡・均等待遇に関する「改革」があります。

労働時間に関する改革は、労働時間の上限の法定化と、使用者による年次有給休暇の時季を指定した付与の義務化、高度プロフェッショナル制度の導入、これに関連して安衛法の産業医の機能強化や、労働時間の上限規制の適用対象外となる研究・開発業務に従事する労働者や、高度プロフェッショナルの対象労働者で長時間労働した者に対する医師の面接指導等が挙げられます。

均衡・均等待遇に関しては、有期雇用労働者を、パートタイム労働法を変更して、パートタイム・有期雇用労働法(略称)として、同法の対象労働者に加え、規制を強化しています。派遣労働者についても、派遣先の対象労働者との均衡・均等待遇を図る、または派遣労働者と同種の業務に従事する一般労働者の平均的賃金の額以上の賃金を保障することを派遣元事業主に義務付けています。また、事業主に対する均衡・均等待遇に係る、労働者雇入れ時及び労働者が説明を求めた時の説明を義務づけています。さらに、これまでのパートタイム労働者に加えて有期雇用労働者と派遣労働者も、都道府県労働局長による、助言・指導・是正・調停の対象となります。

労働時間改革

限度時間

何といってもまず、労働時間の上限が法定化されることが挙げられます。

限度時間の原則は、1年以内の期間で1ヶ月45時間以内、かつ1年360時間以内となります。3ヶ月超1年以内の変形労働時間制を採用する場合は、1ヶ月42時間、かつ1年320時間以内となります。

臨時的に限度時間を超える場合は、時間外労働に休日労働の時間を合わせて1ヶ月100時間未満、かつ1年で時間外労働720時間以内としなければなりません。限度時間を超えることができる回数は1年に6ヶ月以内です。また、当月と直前の1ないし5ヶ月のいずれの期間を平均しても、時間外労働と休日労働を合わせた時間が80時間以内とならなければなりません。

なお、新技術・新商品等の研究開発の業務に従事する労働者は、限度時間の適用が除外されます。
また、自動車運転者、工作物の建設等の事業、医業に従事する医師については、平成36年3月31日まで適用が除外されます。

限度時間に係る改正法の施行日は、大企業が平成31年4月1日、中小企業は平成32年4月1日です。

年次有給休暇の付与

年次有給休暇は、現状、労働者が使用者に時季を指定して請求して、初めて使用者が労働者に対してその時季に付与する義務を負うこととなっています。しかし、労働者の中には、使用者に対してなかなか年次有給休暇を請求しづらいといった人もいます。そこで今度の法改正では、基準日に10日以上の年次有給休暇を有する労働者に対して、使用者は、その労働者の意向を聴いた上で、基準日以降1年以内に5日の年次有給休暇を、時季を指定して付与しなければならないこととなりました。

施行日は平成31年4月1日です。したがって同日以降に基準日を迎える労働者で基準日に10日以上の年次有給休暇を有する者が対象となります。

高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度として労基法第41条の2が新設されます。

事業場の労使委員会での多数委員の議決がある場合に、対象業務に従事する対象労働者については、労働時間・休憩・休日及び深夜の割増の適用が除外されます。

対象業務は、高度の専門的知識等を必要とし、業務に従事した時間と成果との関連性が通常高くないと認められる業務で厚生労働省令で定めた業務です。現在のところ、金融商品の開発、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務、研究開発等の業務が想定されているようです。

対象労働者は、①職務記述書等によって職務が限定されかつ使用者との間で書面等により合意があり、②年収見込み額が労働者一人当たりの平均給与額の3倍を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上、という要件を満たす者です。年収については現在のところ1,075万円となるようです。
なお、労働者が対象労働者になることに同意しなかったことを理由として、解雇等労働条件を不利益に扱ってはいけません。

使用者は、高度プロフェッショナル制の対象労働者に対して、年104日以上かつ週1日以上の休日を付与する義務を負うとともに、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

イ)休息時間の確保
ロ)健康管理時間(事業場内にいた時間及び事業場外で労働した時間の合計時間)を1ヶ月または3ヶ月についてそれぞれ厚生労働省令で定める時間を超えない範囲とすること
ハ)1年に1回以上継続した2週間または1年間に2回以上の継続した1週間の休日を与えること
二)健康管理時間が一定時間を超えた場合又は対象労働者が希望した場合に臨時の健康診断を実施すること

対象業務にせよ対象労働者にせよ、厚生労働省令により変更が可能なところがミソです。厚生労働省令は、労働基準法という法律の委任により厚生労働省が決めることになります。したがって、国会の議決は必要ありません。

中小企業に対する時間外割増の猶予廃止

現在、中小企業については、時間外労働60時間超の場合の割増率50%について猶予され25%以上であればよいことになっています(労基法138条)。この猶予は平成35年3月31日をもって廃止され同年4月1日以降は大企業同様、時間外労働60時間超については割増率50%が適用されます。

フレックスタイムの清算期間の延長

現在フレックスタイムの清算期間は1ヶ月以内となっていますが、これを3ヶ月まで延長できるようになります。ただし清算期間を1ヶ月を超えることとする場合は、1ヶ月ごとに区分した各期間を平均して労働者の労働時間の平均が1週50時間を超えてはいけません。清算期間を1ヶ月を超える期間とする労使協定を締結したときは、使用者は管轄する労働基準監督署へ労使協定の内容を届け出なければなりません。

健康管理体制の強化(産業医・産業保健機能の強化)

まず、産業医を選任すべき事業場については、長時間労働者の状況や労働者の業務の状況等について、産業医に情報を提供しなければならなくなります。また、産業医から事業者が勧告を受けた場合、事業者は事業場の衛生委員会や安全衛生委員会に対して、その勧告を報告しなければなりません。

また、事業者は、産業医の業務等について、事業場の労働者に、常時各作業場に掲示し又は備え付けるなどの方法により、周知しなければなりません。

限度時間の適用除外となる、新技術・新商品の研究開発業務に従事する労働者(労基法36条11項)と高度プロフェッショナル制の適用対象労働者(労基法41条の2)については、1ヶ月の時間外労働と休日労働を合計した時間が100時間超となる場合でその労働者が使用者に申し出たときは、医師による面接指導を受けさせなければなりません(安衛法66条の8の2、安衛則52条の2以下?)。したがって、対象となる労働者の労働時間については、使用者にて把握する必要があります。

勤務間インターバル制度(努力義務)

使用者は労働者に対して、終業してから翌日の始業時刻まで、一定時間以上の休息時間を確保するよう努めなければなりません。

 

有期雇用労働者と派遣労働者に係る均衡・均等待遇については次回に!

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