職場におけるパワーハラスメントとは、 職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範 囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいいます。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントに は該当しません。

職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当 該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれます。

労働者」とは、いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が 雇用する労働者の全てをいいます。 また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者についても、労働者派遣事業の適正 な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第47条の4の規定により、その指揮命令の下に労働させ る派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、法第30条の2第1項及び第30条の3第2項の規定が適用されることから、労働者派遣の役 務の提供を受ける者は、派遣労働者についてもその雇用する労働者と同様に、3⑴の配慮及び4の措置を講ずることが必要です。なお、法第30条の2第2項、第30条の5第2項及び第30条の6第2項の労働者に対する不利益な取扱いの禁止については、派遣労働者も対象に含まれるものであり、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者もまた、当該者に派遣労働者が職場にお けるパワーハラスメントの相談を行ったこと等を理由として、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む等、当該派遣労働 者に対する不利益な取扱いを行ってはいけません。

優越的な関係を背景とした」言動とは、当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者とされる者(以下「行為者」といいます。)に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指し、例えば、以下のもの等が含まれます。
・ 職務上の地位が上位の者による言動
・ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務 の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
・ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは、社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又は その態様が相当でないものを指し、例えば、以下のもの等が含まれます。
・ 業務上明らかに必要性のない言動
・ 業務の目的を大きく逸脱した言動
・ 業務を遂行するための手段として不適当な言動
・ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
 この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が 行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係 性等)を総合的に考慮することが適当であると考えられます。また、その際に、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・ 程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。

労働者の就業環境が害される」とは、当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なも のとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。 この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就 業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当であると考えられます。

ある言動がパワーハラスメントに該当するか否かは、 社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものか否かを総合的に考慮するとともに 、当該言動により労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程度等も総合的に考慮して判断することが必要になります。 このため、個別の事案の判断に際しては、相談窓口の担当者等がこうした事項に十分留意し、相談を行った労働者(以下「相談者」といいます。)の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、相談者及び行為者の双方から丁寧に事実 確認等を行うことも重要です。 これらのことを十分踏まえて、予防から再発防止に至る一連の措置を適切に講じることが必要になります。 職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですが、代表的な言動の類型としては、以下のイからヘまでの6つの類型があり、当該言動の類型ごとに、典型的に職場におけるパワーハラスメントに該当し、又は該当しないと考えられる例としては、次のようなものがあります。

イ 身体的な攻撃(暴行・傷害)
(イ)該当すると考えられる例
 ① 殴打、足蹴りを行うこと。
② 相手に物を投げつけること。
(ロ)該当しないと考えられる例
① 誤ってぶつかること。

ロ 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
(イ)該当すると考えられる例
① 人格を否定するような言動を行うこと。相手の 性的指 向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。
② 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱 責を繰り返し行うこと。
③ 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り 返し行うこと。
④ 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等 を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。
(ロ)該当しないと考えられる例
① 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意 してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注 意をすること。
② その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行 動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。

ハ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(イ)該当すると考えられる例
① 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間 にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
② 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立 させること。 (ロ)該当しないと考えられる例
① 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別 室で研修等の教育を実施すること。
② 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務 に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修 を受けさせること。

ニ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行 不可能なことの強制・仕事の妨害)
(イ)該当すると考えられる例
① 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環 境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる こと。
② 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないま ま到底対応できないレベルの業績目標を課し、 達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
③ 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の 処理を強制的に行わせること。 (ロ)該当しないと考えられる例
① 労働者を育成するために現状よりも少し高い レベルの業務を任せること。
② 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該 業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業 務の処理を任せること。

ホ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験 とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや 仕事を与えないこと)
(イ)該当すると考えられる例
① 管理職である労働者を退職させるため、誰 でも遂行可能な業務を行わせること。
② 気にいらない労働者に対して嫌がらせのた めに仕事を与えないこと。 (ロ)該当しないと考えられる例
① 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容 や業務量を軽減すること。

ヘ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
(イ)該当すると考えられる例
① 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物 の写真撮影をしたりすること。
② 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療 等の機微な個人情報について、当該労働者の了 解を得ずに他の労働者に暴露すること。
(ロ)該当しないと考えられる例
① 労働者への配慮を目的として、労働者の家族 の状況等についてヒアリングを行うこと。
② 労働者の了解を得て、当該労働者の性的指 向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情 報について、必要な範囲で人事労務部門の担当 者に伝達し、配慮を促すこと。
この点、プライバシー保護の観点から、ヘ(イ)②のように 機微な個人情報を暴露することのないよう、労働者に周知・ 啓発する等の措置を講じることが必要である。

事業主は、当該事業主が雇用する労働者又は当該事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)が行う職場における パワーハラスメントを防止するため、雇用管理上の措置を講じなければなりません。

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