労働環境管理は、労働者が、業務中にまたは業務に起因して、負傷したり、病気にり患したりしないように、労働安全衛生法に則って、安全面及び衛生面について使用者が配慮すること、及び、労働者が、いわゆるセクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントを受けることにより、業務遂行に対する情意を削がれ、十分な能力を発揮できないような状態に陥らないように、使用者が配慮することです。
労災保険の観点からは、業務中または業務に起因した怪我や病気だけではなく、セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントを原因とする労働者のうつ病などの精神障害も場合によっては労災認定されることがあり、セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントの防止が課題になってきています。また、長時間労働や過重労働を原因とする脳疾患(脳梗塞やくも膜下出血等)や心臓疾患(心筋梗塞)の発症、精神障害(特にうつ病等を原因とする自殺)も労災認定されることがあり、使用者は、これらを放置することは、許されません。
労働者が業務中または業務に起因して、怪我を負ったり身体的な疾病にり患したり、精神障害を発症した場合、使用者は、労災保険で補償されない部分の、労働者の財産的な損害(逸失賃金等)や精神的苦痛に対する慰謝料を、労働者から請求されることになります。特に、重大な労働災害により、労働者の治癒後に労働者に後遺障害が残った場合や、労働者が死亡した場合、使用者は、労働者やその遺族から、多額の損害賠償請求を受け、損害賠償金の支払いを余儀なくされることもあります。
また、労働災害事故等により、労働者が長期間休業し治癒後に重度の行為障害が残った場合や、労働者が死亡した場合、労働基準監督署は、かなりの高い割合で、その事故等が発生した現場の長と事業主の両者を、労働安全衛生法違反や労働基準法違反で検察に送検し、送検を受けた検察はほぼ間違いなく起訴します。労働基準監督署は送検した場合、報道機関に対して、送検の事実をプレスリリースしており、事件の内容によっては、会社名や労災事故の内容が、新聞やテレビニュース等を通じて公に知れ渡ることにもなります。
何よりも、使用者が、労働環境管理を怠り、安全に関する配慮や、職場環境に関する配慮を欠いた結果、労働者が苦痛を受けたり、心身に障害を負ったり、最悪死に至るなどということは、その労働者本人だけではなく、その家族、会社内の他の労働者らを悲しみの淵に追いやる不幸なことです。使用者は、労働者と労働契約を締結することにより、主たる義務として賃金に係る債務を負うだけではなく、付随的な義務として、労働者が業務中や業務に起因して怪我や精神障害を含む病気に罹らないように、安全や職場環境に対する配慮義務を負うことを忘れてはいけません。

では、労働環境管理とは何か。ここでは、安全衛生、パワー・ハラスメント、セクシャル・ハラスメントに三つに着目して考えていきます。

労働環境管理

安全衛生管理

安全衛生管理とは、端的に言えば、事業者が、労働者の業務中の事故や業務に起因する疾病を予防し、労働者の安全と健康を確保するために、安全配慮義務や環境配慮義務を遂行するための労働安全衛生法に則った具体的施策です。

労働安全衛生法(以下「安衛法」)は条文こそ123条しかありませんが、その委任規定である政省令、具体的には 安衛法施行令や安衛則(=労働安全衛生規則)等に、膨大な条項がありかつ詳細に事業者(労基法でいう使用者)に対する義務を定めています。

建設現場等工事現場や製造業等の工場、倉庫等の事業場はもちろん、いわゆるオフィスであっても、安衛法やその委任規定である安衛法施行令や安衛則により事業者が遵守すべき事項が数多あります。

快適かつ安全な職場環境の実現は、法律による事業者の責務という点からもそうそうですが、何より労働者の労働能力と情意(=やる気)を最大限に発揮させる基本のキですから、これらに対する投資や維持費を必要以上に抑える事業者は、費用対効果のバランスを誤って、結果的に利益の最大化を図っていないと言えます。

>>詳しくはこちら

パワー・ハラスメントの予防と対策

パワー・ハラスメント(いわゆる、パワハラ)については、現在、公法上その予防や事業場でパワハラの事実が確認された場合にその改善を使用者に義務付けた法律はありません。

もっとも、厚生労働省はパワハラの定義とパワハラと評価されうる行為類型を公表しています。また、労働相談に占めるパワハラの割合もその内訳でもっとも多くなっています。

パワハラは一義的には労働者の感じ方の問題であったり、過剰に反応する労働者(ハイパー・センシティブ・ビクティム)の問題もあって難しいところもありますが、他方、前近代的といえるような体育会系のノリで社員を指導したり、明らかに上司等の部下等に対するコミュニケーション能力不足に起因するといったパワハラも現にあります。また、パワハラの被害を訴え出られた事業場の使用者の対応が消極的で後手後手に回るといった拙さが目に付くこともあります。

パワハラは、①予防、②相談窓口、③労働者が会社に対してパワハラ被害を訴え出たときの対応、以上の3つを予め会社内で施策を講じ制度を設けておく必要があります。

>>詳しくはこちら

セクシャル・ハラスメントの予防と対策

>>詳しくはこちら

 

 

お気軽にお問い合わせ下さい。050-3615-6122受付時間 10:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]

メールでのお問い合わせはこちら