あなたは労働者?いわゆるキャバ嬢はどうよ?

みなさん、こんにちは
特定社会保険労務士のおくむらです。

先日のブログでは、労基法上の労働者についてお話ししました。
雇用契約であっても、労基法上の労働者とはならない、つまり労働契約とは認められない場合があることに、若干注意が必要です。

ところで、わたくしはときどき、いわゆるキャバ嬢と言われるお水のお仕事に従事しているお嬢様方から相談を受けることがあります。何で相談を受けるのかというと、わたしのウェブサイトのページに理由があります。
論より証拠のページはこちら⇒キャバ嬢・ホステスのための労働相談

キャバ嬢さんからの相談で多いのが、賃金不払いと解雇に関してです。

特に、キャバ嬢さんがお店の店長に「辞めたい」と言ったら、罰金をたくさん計上されてお給料を支払ってくれない、といった相談や、店長から「明日から来なくていい」と言われて納得できない、といった相談がほとんどです。

キャバ嬢は労働者か?

実は、キャバ嬢やホステスといったお水のお仕事に従事している方には2通りの契約があることに注意をしなければなりません。

一つは、労基法の対象となる労働者としての労働契約、もう一つはお店の事業主の仕事の一部を代行する業務委託契約です。

お水のお店に雇われて働くキャバ嬢といったお嬢さんやホストといったお兄さんは、報酬の支払いに関しては、個人事業主として源泉徴収されていることがほとんどです。これはお店のオーナーさんはもちろん、税務署も何ら疑うことなくそのように処理しています。

しかし、労基法の観点から見ると、キャバ嬢らに往々にして労働者性を認めることができます。

例えば、労働者性を認める最大の要素は使用者の指揮監督(指揮命令)を受けて業務に従事しているかどうかですが、キャバ嬢は通常、店長等の指示を受けて客の接待をしています。また開店前などにはミーティングなどがあり、キャバ嬢らは接待方法について店長等から指示を受け、また客の情報を店と共有していたりします。

それ以上に私が注視するのは、キャバ嬢らの報酬の計算方法についてです。通常キャバ嬢と言われる方の報酬は、時給あるいは日給で計算されています。これに指名や同伴の件数により支払われる歩合給が加算されます。
このように時間を単位とする報酬の計算が主である場合、労働に対する対償性つまり労務対償性が強くなります。

他にも、場所的拘束があることや、出退勤時刻について管理されているといった、労働者性を肯定する要素をキャバ嬢には多く見て取ることができます。
実際にキャバ嬢やホステスの労働者性が争点となった裁判例で、ホステスの労働者性を肯定した判決もあります。参考判例:大阪地裁 平成17年8月26日判決 クラブ「イシカワ」(入店契約)事件

では、キャバ嬢やホステスと言われる人たちはみな労働者なのかというと、過去の裁判ではホステスの労働者性を否定した判決もあります。
例えば、東京地裁(平成27年11月5日判決 Mコーポレーション事件)では、クラブのホステスの仕事の実態について、契約上は出勤日に関する取り決めがあったが実際にはそのホステスの顧客が来店しない日には出勤の必要がなかったことや、遅刻や早退を理由とする報酬の減額がなかったこと、そのホステスの報酬の計算方法が、そのホステスの顧客がお店に支払った売上の60%だったこと等を認定して、そのホステスとお店との契約は(有償)準委任契約だったと判断しました。

罰金制度は労基法違反

さて、キャバ嬢さんからの相談で多いのは賃金不払いだと上述しましたが、これは罰金と称して報酬が減額されるということがあります。罰金で多いのが、キャバ嬢の遅刻や無断欠勤に対するものです。

しかしキャバ嬢が労基法上の労働者だと認められる場合、こういった罰金性は違法無効な契約となります。労基法第16条には、労働者の労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない、ことが定められています。

この労基法第16条は民法の特別法として、特に民法第420条で認められている損害賠償の予定といった契約自由の原則を修正する目的で設けられています。

労基法第16条は、労働者の労務不履行の場合に、労働者が使用者に対して違約金を払うことや、労働者の労務不履行により使用者に損害が発生した場合に、その損害額の多寡にかかわらず一定の金額を損害賠償金として支払うことを労働条件として前もって定めておくことを禁止するものです。

キャバ嬢の遅刻や無断欠勤を理由とする罰金制度はこの違約金に該当します。

ところで、キャバ嬢の罰金制度は、労基法上で禁止されている制度ですが、キャバ嬢の労働者性について考えるときは、プラスの要素となります。つまり、遅刻や欠勤に対して罰金ということは、キャバ嬢に対して、遅刻や無断欠勤を抑止する効果を生むこととなり、間接的に遅刻をなくし、所定出勤日の皆勤を促すことになるからです。これは使用者によるキャバ嬢を労働者として拘束を強めることにります。

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